【レビュー】 ライブ用イヤープロテクター EarPeace HD | 千の記憶   

2015年8月14日金曜日

【レビュー】 ライブ用イヤープロテクター EarPeace HD

EarPeace HD

EarPeaceの新型「EarPeace HD」が発売されていたので購入してみました。



難聴にならないために


ライブ後に耳の奥が痛かったり、数日間聞こえ方がおかしかったりしたことはありませんか?それは音響外傷(Wiki)と呼ばれる聴覚にダメージを負ってしまった状態です。ライブ会場に限らず、ヘッドフォンやイヤフォンで大音量を長時間聴き続けることによっても引き起こされる音響外傷は難聴のリスクを高めてしまいます。したがって、幸せなミュージックライフをおくるためにも聴覚を保護するということはとても重要なのです。

会場の大きさを問わずスピーカーに近ければ近いほど大音量なので、イヤープロテクターは確実に必要となります。しかし、大会場で後方席だからといっても思わぬところにスピーカーが吊るされていたりする場合もあるので安心してはいけません。また、座席位置や会場の音響特性、PAの調整次第でも音響外傷を負う可能性があることを留意しておいてください。



ライブ用イヤープロテクターとは


よくあるポリウレタン製のイヤープロテクターは外耳道を完全に塞いでしまうのでかなりこもった音になってしまいます。遮音性を求めるのならこれで構いませんが、ライブ会場のように騒音の中でもある程度の音が聞き取れないと困るような環境で耳を塞いでいるのも同然なのは本末転倒です。

ライブ用のイヤープロテクターとして販売されているものは遮音よりも「減音」を目的としているため、本体にはフィルターと呼ばれたりする減音装置が組み込まれています。EarPeaceの場合、取り外し可能なプラスチック製のこれには小さな穴が開けられていて完全には密閉されてはいません。つまり、本来の外耳道の大きさをイヤープロテクターで小さくすることによって、入ってくる音を減らすことで聴覚を保護する仕組みになっているのです。

以下、レビュー記事です。


【レビュー】


EarPeace, EarPeace HD アルミケース大きさ比較
左:EarPeace(旧型)、右:EarPeace HD
EarPeace, EarPeace HD アルミケース大きさ比較
アルミ製のケースは小型化してスリムに
EarPeace(旧型)
EarPeace(旧型)
EarPeace HD
EarPeace HD


新型のEarPeace HDは底蓋部分も外せて2層式になったことでスペアとフィルターが収納できて使い勝手が向上しました。


EarPeace, EarPeace HD
左:EarPeace(旧型)、右:EarPeace HD
イヤピースの色が明るくなり、耳から取り外す際のタブが太くなって引っ張りやすい形状に。旧型は千切れるんじゃないかというほど細い。

EarPeace, EarPeace HD フィルター
左:EarPeace(旧型)、右:EarPeace HD

キノコの傘状になっているフランジ部分の大きさは見た感じ同じであるため装着感は変わりません。フィルター部分が半埋込み式で短くなって交換可能になり遮音性能が調節可能になりました。旧型はフィルターを引っ張れば簡単に抜けてしまうので紛失が怖い。

通常のフィルター(肌色)の他に赤色のフィルターが同梱されていて、スピーカーに近い場合などより強い保護が必要な時にはこちらを使用すると良いとのこと。




❏実戦投入

8月1日と2日にゼビオアリーナ仙台で開催されたNANA MIZUKI LIVE ADVENTURE 2015 TREASURE 5、TREASURE 6の宮城公演に両日参戦(記事はこちら)した際に実際に使用してみました。

記事にもあるように初日はシンバルの高音が特にキツかったので効果は絶大でした。ただ、コール・アンド・レスポンス時に若干聞き取りにくく、その時だけ片耳だけ外して対応しました。旧型は低音過多でしかもモコモコ、ボワボワで締りのない低音のせいか、中高音をマスキングしてしまい女性ボーカルには向いていませんでした。低音好きな人はいいかもしれませんが、フラットでバランス重視の私には好みではありませんでした。この点はHDに進化してボーカル域の中高音も聞こえるようになり、音域のバランスが改善されて聴きやすくなったと思います。



❏擬似ライブ

NANA MIZUKI LIVE CIRCUS×LIVE CIRCUS+×NANA WINTER FESTA KIXM-161~164
KIXM-161~164
「NANA MIZUKI LIVE CIRCUS×LIVE CIRCUS+×NANA WINTER FESTA」の中から半野外という音響特性が特殊な環境で、かつ音圧が高めの音声が収録されているLIVE CIRCUSの西武ドーム公演をヘッドフォンでライブをシミュレートしてみます。さすがにスピーカーから大音量は出せないのでね。

旧型は中高音が多くカットされているのか低音過多に聞こえてしまい、肝心のボーカルがこもった感じになっていましたが、EarPeace HDではバランスが改善されていてボーカル部分の聴こえは良くなりました。音圧の高さと高音のギラつきは軽減されますがバスブーストがかかった状態に聞こえます。ライブ会場だと低音は耳以外に全身に響く感じなので、耳だけでこれだと実際は低音過多なのかもしれません。実際のライブ会場では低音がそこまで気にならなかったのでこれはちょっと意外です。旧型に比べると低音はそれほどこもっては聞こえないので、これはこれでライブ会場っぽく聞こえているのではないでしょうか。


【レビュー環境】
  • PC:自作(2012年5月頃のアッパーミドルクラス)
  • 音源:「NANA MIZUKI LIVE CIRCUS×LIVE CIRCUS+×NANA WINTER FESTA Blu-ray(48kHz 24bit)」
  • USBケーブル:ACOUSTIC REVIVE USB-1.0PLS
  • USB DAC:TEAC UD-501
  • XLRケーブル:BELDEN 83350E
  • ヘッドフォンアンプ:TEAC HA-501
  • ヘッドフォン:audio-technica ATH-A900X LTD



ライブに集中できる


このシリーズを初めて買うという人には聴こえ方のバランスが良くなった新型のEarPeace HDをおすすめします。

ライブ中に音割れして聞くに耐えなかった。ライブ後に耳の聞こえ方がおかしくなった。そんな経験のある人にはぜひともおすすめします。聴力には個人差があるのでそんな経験がなくとも難聴予防のためにもおすすめします。有毛細胞が死んでしまうほどのダメージを受けると2度と再生しないので、2,000円前後で難聴を予防できるなら安いものです。

周囲の話し声などの雑音も聞こえにくくするのでライブに集中することが出来ます。その反面、自分の声が頭内によく響いてしまうので、コール・アンド・レスポンスが多いようなライブでは「自分の声」なのに違和感があるので、これだけは慣れが必要です。

最後にちょっとしたアドバイスを。耳栓だからといって奥に押し込んでいいというわけではありません。キノコの傘状になっているフランジ部分で軽く蓋をするような感じで装着するとピッタリとフィットします。

EarPeace HD 悪い装着例
悪い装着例
無理に押し込むと矢印部分のようにフランジ部分が折れ曲がって密閉度が低下するため、隙間から音が入り込んでしまい、左右で聴こえ方が違ったりしてしまいます。

EarPeace HD 正しい装着例
正しい装着例
そっと蓋をするように装着するとこのようにピッタリと外耳道にフィットします。

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